【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「カトリーナは素直でとてもいい子なんだね」

「……?ありがとうございます」

「そうだ!母上の話が終わる間、僕がカトリーナに魔法を見せてあげるね」


そう言ってオリバーは火の玉を浮かべたり、空に投げて弾いたりしながら魔法を見せてくれた。
目を輝かせていると、オリバーはカトリーナを「こっちに来て」誘導する手を伸ばす。
しかしそれを阻止するように背後からクラレンスがやってきてカトリーナを抱きしめるように引き寄せる。

オリバーは笑顔のまま固まって、手のひらをヒラヒラと動かした。
王妃は「あらあら」と言って口元を押さえている。


「……クラレンス殿下、どうかしましたか?」

「以前も言ったが俺以外に触れさせるな」

「あっ……そうでした。申し訳ありません」

「わかればいい」


オリバーが楽しそうに「まさか兄上がやきもっ……」と言いかけた時、オリバーの口元が氷で覆われる。
しかしトーマスの時とは違い、一瞬で魔法は解けてしまった。
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