【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
(誰がこんなことを……?)

それと侍女達の仕事を肩代わりすることでカトリーナはなんとか食い繋いでいた。

シャルルは甘やかされて育ったせいか、気に入らないと癇癪を起こして他の侍女達をよく困らせている。
我儘がひどくて嫌になると他の侍女がいつも言っていた。
次第に他の侍女達からシャルルの世話をお願いされるようになる。

シャルルは輝きを放ち、カトリーナはいつも薄汚れていた。
シャルルの口癖はいつも同じで『わたくしの元にはいつか王子様が迎えに来るのよ!』と、自信満々に言っているシャルルを見て、カトリーナは本当にそうなるのだと思っていた。

シャルルは自分との扱いの差をカトリーナを側に置くようになる。
見窄らしいカトリーナを見てはいつも「汚らしい」と嗤っては満足そうにしている。

カトリーナは仕事が終わり屋根裏部屋へと戻り、ホッと息を吐き出した。
屋根裏には何年経っても本は読みきれないほどに置いてある。
ここに戻り体を休めながら本を読む時間が唯一の癒しだった。
全て古い本だったが狭い世界で生きているカトリーナにとって、新しい知識は価値があるものだ。
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