【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
王都と辺境の地はかなり離れていて、一年通して温かく気候がいい王都とは違い、辺境の地はかなり寒いようだ。
そしてシャルルはオリバーと結婚するの予定なのだと高らかに宣言していた。
オリバー・ディウロ・アリウーダは太陽のようなオレンジ色の髪と光のような金色の瞳は令嬢達からの憧れの的。
現国王と同じ、炎を操る力を持つそうだ。
彼が王位を継げば国は安泰だと言われている。
サシャバル伯爵夫人はシャルルをオリバーの婚約者として押し上げようと全力を尽くしていた。
『シャルル、あなたは誰よりも美しいわ』
それがサシャバル伯爵夫人の口癖だった。
根回しから、シャルルへの投資を惜しみなく行っているのだが、この頃になるとシャルルは気に入らないことがあると、カトリーナの元にきては嫌がらせをするようになった。
ストレスをぶつけるように暴言を吐いて、物を投げて当たり散らしている。
何も反応をしないのをいいことに、シャルルの嫌がらせはヒートアップしていくがカトリーナは抵抗する術を知らないままだ。
「フフッ、あなたはいらない子なの。あの女と一緒ね」
「……」
「なんとか言いなさいよ。本当、つまらないわ」
その言葉はカトリーナの動かなくなった感情を揺さぶった。
そんな反応を返せばシャルルの思う壺だとわかっているのに、悔しくてたまらなかった。