【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
そんな時、シャルルの元に王家から封筒が届いた。
シャルルは「オリバー殿下からの婚約の申し出かしら」と喜んでいたがカトリーナでさえ、いい知らせではなく悪い知らせなのではと思った。
手紙に書かれていたのは、もちろんオリバーからの婚約の申し出ではなくシャルルにとっては地獄のような宣告だった。

ベル公爵がアリウーダ国王に働きかけたのか『娘をクレランスの元に送り、行儀見習いとして働かせるように』と手紙には書かれていたそうだ。
どうやらベル公爵はアリーリエのために邪魔なシャルルを辺境の地に飛ばす選択をしたらしい。
本来ならば第一王子の元に行儀見習いとなれば良縁も望めるようにも聞こえるが、極寒の辺境で呪われた王子となれば話は別。
最早シャルルを社交界から追放と言っているようなものだろう。

もうシャルルはオリバーに近づけないどころか、暫くは婚約者を探すことも満足にできはしない。
それを見たサシャバル伯爵夫人とシャルルは顔を真っ青にして焦っていた。
サシャバル伯爵夫人が手塩にかけて大切に育ててきたシャルルを手放すことなど考えられないだろう。
シャルルは手紙を握りながら、力いっぱいテーブルを叩く。


「あの女っ、あのクソ女……!絶対に許さないわ。わたくしを追放しようとするなんて!呪われた王子の元に行くなんて絶対に嫌だわ。お父様、どうにかしてよっ!」

「ちょっとあなた、聞いているの!?酒ばかり飲んでないで、たまには役に立ちなさいよっ……!」
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