【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「この紋章が見えないのか!?国王からの直々の手紙だぞ!?どうにかできるわけないだろう……!君の実家に言ったらどうなんだっ」
「もう言ったわ!けれど相手がベル公爵ならば話は別だと言って取り合ってくれなかったのよ!」
二人の罵り合いはどんどんと激しくなっていく。
そんな中、シャルルは一人でブツブツと呟きながら首を横に振っている。
「わたくしは悪くない……!あの性悪女がわたくしの邪魔をしたのっ!わたくしは悪くないんだからっ」
シャルルはいつものように癇癪を起こして泣き叫んでいる。
ひたすら自分の無実を訴えるシャルルを見たサシャバル伯爵夫人は両手を広げてシャルルを抱きしめた。
そしてカトリーナの前とは別人のようにシャルルに優しく声をかけている。
「シャルル、わたくしはちゃんとわかっているわ。悪いのはベル公爵の娘、アリーリエの方に決まっているの。まったく公爵家ともあろうものが品性を疑うわね。わたくし達がどうにかしてみせるから、あなたはなにも心配しなくていいのよ……!」
「お母様、ありがとう!やっぱりわたくしのお母様は最高よ」
カトリーナはそんな会話を聞き流しながら、サシャバル伯爵夫人に『今日の仕事を終えて屋根裏部屋に戻っていい』と言われるのを部屋の隅で待っていた。
(今日はとても疲れた。早く屋根裏部屋に帰って、本の続きを読みたい)