【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「今度の舞踏会までには決着を着けようと思う。それまでにカトリーナにまた辛い思いをさせてしまうことがあるかもしれない」


今もシャルルとサシャバル伯爵夫人のことを思い出すだけで恐怖で体が震えそうになる。
しかし、その反面で打ち勝ちたいと思う自分がいる。

(もうあの人達に負けたくない……!)

クラレンスがカトリーナのために動いてくれるのならば、その気持ちに応えたいと思った。


「私は大丈夫です」

「だが、今日のように体調を崩してしまったらと思うと……俺は今度こそ怒りで頭がおかしくなりそうだ」


クラレンスは手のひらを強く握り込んでいる。
拳はブルブルと震えていてカトリーナのために怒ってくれていると思うと嬉しくなった。
カトリーナには心強い味方がいる。それだけで強くなれるような気がした。


「確かにあの日々のことを思い出すと言葉が出ません。ですが過去を捨てて前に進みたいと強く思います」

「……!」
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