【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
しかし『クラレンス殿下』という名前を聞いて愕然とする。
カトリーナを守るように肩を寄せている。

(どうして……?あの女に!?)

呪われた王子、クラレンスには悪い噂がいつもあった。
幼い頃から黒いローブを被っており、呪いを振り撒いている。
それはそれは醜い顔を隠していると言われていたのに……。

(あれがクラレンス、殿下……?)

だが、実際は醜いとは言い難く、眩いほどに美しい彼に釘付けになっていた。
そしてカトリーナがまだナルティスナ領にいるのだと気づくのと同時に、もしもという考えが頭をよぎる。

(もし、わたくしがナルティスナ邸に行儀見習いに言っていたら……クラレンス殿下と結ばれていたということ?)

そう思うとシャルルの心の中に後悔が押し寄せる。
こんなにかっこいいと知っていたら、シャルルは自分から進んでクラレンスの元に行っただろう。

しかし母とシャルルを取り囲んだ尖った氷。
それはオリバーよりもずっとずっと大きい力なのだと本能的に理解することができた。

(オリバー殿下よりも上の存在がこの国にいたなんて!欲しい……!クラレンス殿下が欲しいわ)

シャルルはクラレンスに夢中になった。
何よりクラレンスを手に入れることができればアリーリエと、あの憎きベル公爵を見返すことができる。
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