【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
(わたくしがクラレンス殿下に愛されるべき……!そうだわ!きっと、そうなる運命なのよっ)

カトリーナが愛されるわけがない。シャルルこそ愛されるべき存在なのだ。
それが覆されることは許されない。
シャルルはカトリーナと共にクラレンスが出て行った扉をずっと見つめていた。

店内にやって来たのは貧乏くさい地味な侍女とひ弱そうな護衛だった。
二人は血走った目でこちらを睨みつけている。
先程、シャルルに噛みついてきた店員も気に入らない。


「なんなのよ、その目はっ!身の程を知りなさい」


シャルルの言葉にも動じることはなく、軽蔑するような眼差しを向けてくる。不愉快だった。
文句を言ってやろうとした時に母の制止が入り、そのまま店から出て馬車に乗り込もうとした時だった。

王家の馬車並みに豪華な馬車が向かいの道に停まっている。
その中には寄り添うクラレンスとカトリーナの姿があった。
シャルルが怒りからワナワナと震えていると母が低い声で「乗りなさい」と呟いた。

シャルルは馬車に乗りながらも「絶対に自分の方がクラレンスに相応しい!」と訴えかけている。


「お母様っ、わたくしの方がクラレンス殿下に相応しいと思うの!」

「…………そうね」
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