【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
クラレンスさえ手に入れてしまえば名誉も回復できるし、ベル公爵とアリーリエに復讐だって簡単だ。
(ああ、楽しみ……あの女がわたくしより愛されるわけないじゃない。みんなわたくしを選ぶ。当たり前のことよ)
馬車に揺られている間、シャルルはずっとクラレンスと過ごせる夢のような日々について考えていた。
サシャバル伯爵邸について、すぐに父に相談した。
カトリーナの話をすると一瞬だけ、苦い表情を作ってからすぐに「詳しく話してくれ」と言った。
シャルルは興奮しながらもクラレンスの魅力について語っていた。
人間離れした美しい容姿、圧倒的な魔法の力と王家の権力。
黒いローブを取った彼は今まで出会った中の誰よりも魅力的に思えた。
それに何故あんなデタラメな噂が流れたかは知らないが、クラレンスの容姿と力を知れば皆が驚くはずだ。
シャルルがクラレンスの横を歩けば羨望の眼差しを得られるに違いない。
「わたくし、ナルティスナ領に行きたいわ!今からでも遅くないはずよ」
「…………」
「本当はわたくしが行く予定だったんだもの!半年は過ぎちゃったけど今度はわたくしがクラレンス殿下の元へ行くわっ!」