【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
シャルルがそう訴えかけると父は難しい顔をしながらも首を縦に振った。
母より少し厳しいが父はシャルルの願いを叶えてくれなかったことはない。
今回も絶対に要求が通ると確信していた。


「……わかった。そのように打診してみよう。その代わり、カトリーナの籍をサシャバル伯爵家から抜けと言っていたが、カトリーナはこのままサシャバル伯爵家の娘として籍を残す。伯爵家の後継を産んでもらわねばならないからな」

「わたくしがクラレンス殿下と結婚さえできれば、あとはどうでもいいわ。あの女はお父様の好きにしたら?」

「ならわたくしもシャルルと共にナルティスナ領へと向かうわ。そう伝えてちょうだい」

「お母様……!ついてきてくださるのね!わたくし一人では心細かったの。ありがとう」

「もちろんよ、シャルル!」


シャルルは母に抱きついて喜んでいた。
正直、一人では心細かったのだが、母がいたら心強い。
あとは父がクラレンスに打診するだけ……そう思っていたシャルルの予想とは違うことが起こる。

次の日、侍女に起こされたシャルルは不機嫌になりながらも起き上がる。


「なんなのよっ……!わたくしに指図しないでっ」
< 187 / 218 >

この作品をシェア

pagetop