【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「シャルル、大丈夫なの……?」
「ふふっ、あはは……!どうして気づかなかったのかしら。わたくし、とってもいいこと思いついたわ」
「急にどうしたの?」
「サシャバル伯爵家の娘が行けば、お母様とお父様は国王陛下から怒られないんでしょう?」
「そうよ。だけどサシャバル伯爵家の娘はあなたしかいないのよ?だから困っているんじゃない」
「そう……でもそうじゃないのよ!」
「シャルル……?」
その言葉に周囲は首を傾げている。
しかしシャルルは気にすることなく腕をスッと上げて、ある場所に指をさす。
指のさす場所……カトリーナに視線が集まった。
「──この女を身代わりにすればいいのよっ!」
「身代わり……!?」
「何を言っているんだ!この子は……っ!」
「だってコイツはお父様の血を引いてるサシャバル伯爵家の〝娘〟なんでしょう?」
「……!」
ニタリと笑ったシャルルの言葉を聞いてカトリーナは不安から胸元で手を握った。
身代わりにするとは、シャルルの代わりに〝サシャバル伯爵家の娘〟として辺境の地に向かわせるということだろうか。
カトリーナの心臓はうるさいほどにドキドキと音を立てていた。