【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
カトリーナはパチパチと暖炉が弾けて燃えているのを眺めていた。
温かい風と木の燃える匂いがした。

暫くするとニナは着替えを持ってカトリーナに笑顔を向けた。
栗毛を下の方で二つに結えており、ヘーゼルの瞳は優しげに細まっている。
ニナの太陽のような笑顔はカトリーナにとっては眩しく思えた。
ニナとカトリーナはそのまま固まっていた。


「あの、濡れた服を着替えましょう?わたしがお手伝いいたしますので後ろを向いてください」


ニナはカトリーナがいつもシャルルにやっているように着替えを手伝ってくれようとしていたのだとカトリーナは理解する。
しかしニナの手をこれ以上、煩わせたくなかったカトリーナは自分の意志を伝えるために唇を開いた。


「自分で、できますので……」

「え……?」


カトリーナはニナから着替えを受け取ると、慣れた様子で服を脱いでいく。
ニナは何故か口元を押さえて目を見開いた後に顔を背けてしまった。

(貴族の令嬢が自分で着替えることはないから、驚かせてしまった……任せた方がよかったの?)
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