【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
いつもの暗くて埃っぽい屋根裏部屋で本を読んでいたはずのカトリーナの姿があった。
辺りを見回して破れた小さな鏡に映るのは幼い頃の自分。
ドタッという大きな音を立てた場所に目を向けるとそこには……。
(……どう、して?)
カトリーナの前で母が倒れている。
カトリーナは母に言葉をかけようとするが声が出ないことに気づく。
いくら母に手を伸ばそうとしても届かない。
ゆっくりと首が動いて母と目があった。母の瞳には憎しみが滲む。
『あの女と娘、あの男を殺して……!お願い、カトリーナ』
色がないはずの母の唇が血のように真っ赤に染まって弧を描いた。
いつの間にかカトリーナの前にはサシャバル伯爵夫人とシャルルが立っていて、カトリーナを見下ろしている。
『……気に入らないわ』
その言葉と共に二人がこちらに迫ってくる。
「───っ!」
カトリーナは目を見開いた。
無意識に息を止めていたのか、荒く息を吐きながら咳き込んでしまう。
全身、汗をかいて何故か体の震えが止まらない。
ずっしりと重たくなっている手足を動かして体を丸めてから口元を押さえた。
「ゴホッ……ゴホ、ッ!」
「大丈夫ですか!?今、お水をお持ちしますね……!」
辺りを見回して破れた小さな鏡に映るのは幼い頃の自分。
ドタッという大きな音を立てた場所に目を向けるとそこには……。
(……どう、して?)
カトリーナの前で母が倒れている。
カトリーナは母に言葉をかけようとするが声が出ないことに気づく。
いくら母に手を伸ばそうとしても届かない。
ゆっくりと首が動いて母と目があった。母の瞳には憎しみが滲む。
『あの女と娘、あの男を殺して……!お願い、カトリーナ』
色がないはずの母の唇が血のように真っ赤に染まって弧を描いた。
いつの間にかカトリーナの前にはサシャバル伯爵夫人とシャルルが立っていて、カトリーナを見下ろしている。
『……気に入らないわ』
その言葉と共に二人がこちらに迫ってくる。
「───っ!」
カトリーナは目を見開いた。
無意識に息を止めていたのか、荒く息を吐きながら咳き込んでしまう。
全身、汗をかいて何故か体の震えが止まらない。
ずっしりと重たくなっている手足を動かして体を丸めてから口元を押さえた。
「ゴホッ……ゴホ、ッ!」
「大丈夫ですか!?今、お水をお持ちしますね……!」