【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
しかしニナは怒ることなくカトリーナの背を撫でてくれた。
呼吸がしづらくなり、ヒューヒューと喉が鳴る。
今回は随分とひどくなってしまったようだ。 

(早く、治れ…………はやくしないと、早くしないとっ!)

カトリーナはそう言い聞かせても咳は止まらない。


「お医者様が絶対に安静にするように、と。手足は凍傷になりかけていたのですよ?それからよく食べて、体を休めましょう」

「……ッ、うっ」


ニナが何を言っているのか、わからなかった。
意識が遠くなりながらも、カトリーナはベッドから足を下ろした。


「どこに行かれるのですか……?」

「働か、なきゃ」

「え……?」


働かなければ食べ物はもらえない。
食べ物を食べなければ体調はよくならない。
それはカトリーナがずっとあの場所にいと生き残るために必要なことだった。


「──誰かっ、誰か来てください!」


ニナの声が聞こえたがカトリーナは震える足を進め続けた。
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