【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
相手は伯爵家ではあるが、夫人の生家である侯爵家の顔を立ててのことだろう。
この処遇ならばベル公爵の判断に意を唱えるものはいないはずだ。
(……シャルルという令嬢の性根が腐っているのだろうな。ベル公爵がこのような処遇に踏み切るくらいだ)
クラレンスは厄介事を押し付けられて最悪な気分だったが、ベル公爵には幼い頃から世話になっている。
本来ならば我儘で傲慢な令嬢など受けいれたくはないが、ベル公爵の頼みとなれば話は別だと思った。
クラレンスはアリウーダ王国の第一王子として生を受けた。
父と弟とは真逆の珍しい魔法の力を持って生まれたクラレンスは強大な力をコントロールできずにいた。
歴史的にも氷の魔法は珍しく、文献にも残っていない。
クラレンスの感情の大きさによって力が暴走してしまうことがあったため周囲を怯えさせて、ひどい時には母に怪我までさせてしまうこともあった。
母は笑って「大丈夫よ」と言ってはいたが、幼いクラレンスの心に大きな傷が残るには十分な出来事だった。
王城での生活はクラレンスにとって窮屈で息が詰まる。
何より誰も傷つけたくないと思った。
そんなストレスから全身から僅かな冷気を放つようになったクラレンスは黒いローブを被るようになった。
この処遇ならばベル公爵の判断に意を唱えるものはいないはずだ。
(……シャルルという令嬢の性根が腐っているのだろうな。ベル公爵がこのような処遇に踏み切るくらいだ)
クラレンスは厄介事を押し付けられて最悪な気分だったが、ベル公爵には幼い頃から世話になっている。
本来ならば我儘で傲慢な令嬢など受けいれたくはないが、ベル公爵の頼みとなれば話は別だと思った。
クラレンスはアリウーダ王国の第一王子として生を受けた。
父と弟とは真逆の珍しい魔法の力を持って生まれたクラレンスは強大な力をコントロールできずにいた。
歴史的にも氷の魔法は珍しく、文献にも残っていない。
クラレンスの感情の大きさによって力が暴走してしまうことがあったため周囲を怯えさせて、ひどい時には母に怪我までさせてしまうこともあった。
母は笑って「大丈夫よ」と言ってはいたが、幼いクラレンスの心に大きな傷が残るには十分な出来事だった。
王城での生活はクラレンスにとって窮屈で息が詰まる。
何より誰も傷つけたくないと思った。
そんなストレスから全身から僅かな冷気を放つようになったクラレンスは黒いローブを被るようになった。