【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
本来ならば長子ゆえに王太子として務めるべきだとわかってはいたが、クラレンスは自分の捻くれた性格や人に対する不信感が拭いきれない。
国王に向かないことは初めからわかっており、父にもそう話していた。

クラレンスは弟のオリバーが王位を継ぐべきだと言った。
幼い頃から無垢で純粋なオリバーに何度、助けられたことだろう。
人当たりのよさや、分け隔てなく与えられる優しさ、視野の広さを見て王太子として民の前に立つのはオリバーしかいないと思っていた。
なにより父と同じ魔法を使い、愛されている。
しかし頭の硬い父はクラレンスが王位を継ぐべきだと、なかなか首を縦に振ろうとはしなかった。

だが父の従兄弟のベル公爵はクラレンスのよき理解者だった。
国をよくしていくには自分の能力を最大限に活かせる方がいいと父を説得する手伝いをしてくれたのだ。
二年かけてやっと説得に成功し、十四で辺境の地に向かう。
そこで前々から人がいない北の領地を狙うバルブ帝国からクラレンスはアリウーダ王国を守るために戦った。
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