【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「あら、おかしいわね……あなたの子供は病気で動けなくて寝たきりだと聞いていたけど随分と健康そうじゃない」
「……っ」
母は唇から血が滲む程に、強く噛んでいた。
そう言って貴婦人は折り畳まれた扇子でカトリーナの顎を持ち上げた。
仄暗い血のような真っ赤な瞳と目があった瞬間、全身が震え上がった。
「顔だけが取り柄のあの男とあなたに似て、随分と美しいじゃない……本当に運だけはいいのね」
「……ぁ」
「…………気に入らないわ!」
その言葉と共に、カトリーナの頬に今まで感じたことがない鋭い痛みが走った。
重たい音を立ててカトリーナは倒れ込んだ。埃がぶわりと舞い上がる。
何があったのかわからなくて頬を押さえながら体を持ち上げた。
そしてカトリーナが読んでいた本をピカピカと輝いている尖った靴で踏み躙る。
カトリーナが本に手を伸ばそうとすると立ち上がれと言わんばかりに扇子で再び顎を掬われる。
「文字も読めるのね……気に入らないわ」
「……っ」
母は唇から血が滲む程に、強く噛んでいた。
そう言って貴婦人は折り畳まれた扇子でカトリーナの顎を持ち上げた。
仄暗い血のような真っ赤な瞳と目があった瞬間、全身が震え上がった。
「顔だけが取り柄のあの男とあなたに似て、随分と美しいじゃない……本当に運だけはいいのね」
「……ぁ」
「…………気に入らないわ!」
その言葉と共に、カトリーナの頬に今まで感じたことがない鋭い痛みが走った。
重たい音を立ててカトリーナは倒れ込んだ。埃がぶわりと舞い上がる。
何があったのかわからなくて頬を押さえながら体を持ち上げた。
そしてカトリーナが読んでいた本をピカピカと輝いている尖った靴で踏み躙る。
カトリーナが本に手を伸ばそうとすると立ち上がれと言わんばかりに扇子で再び顎を掬われる。
「文字も読めるのね……気に入らないわ」