【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
温かいパン粥を食べただけで喜んだかと思いきや、ベッドで眠ることに許可を取ろうとする。
何をするにもクラレンスの言葉を待っている。

(まるで何も知らない子供ではないか……!)

カトリーナの言葉を身近で聞いているニナやゴーンは「おいたわしい」と言って、何かあるたびに常に涙を流しては鼻をかんでいる。
いつの間にかトーマスもカトリーナを可愛がっているようだ。


「仕事をしたいというのならまずは体調を整えろ。いいな?」


カトリーナは「はい、わかりました」と抑揚のない返事をした。
カトリーナが仕事をしていなければ落ち着かないと言う。
恐らくクラレンスの予想ではあるが、許可を出した途端、朝から晩まで休まず働き通しになるのではないかと思うとなかなか許可が出せなかった。


一ヶ月後───


再び雪が降り始めた朝のことだ。
クレランスの元には大量の資料と手紙が届けられる。
ベル公爵、父とオリバーの手紙に目を通した後に分厚い資料を手に取ると、その資料にはカトリーナのことについて詳しく書かれていた。
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