【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
ニナの言葉にゴーンとトーマスも頷いている。
クラレンスもそのつもりでいた。
カトリーナをナルティスナ邸でこのまま受け入れよう、そう思っている。


「それにここに書いてありますけど、カトリーナ様がいなくなってから侍女が次々にやめていくなんて、サシャバル伯爵夫人やシャルル様は相当キツく当たっているのかもしれませんね」

「カトリーナがいなくなった分、過酷な労働を要求されて耐えられなくなったのではありませんか?それに伯爵夫人の怒りの矛先がずっとカトリーナ様だったのするならば……」

「こうなるのも当然ですよ……!こんな悪い噂ばかりの令嬢がオリバー殿下に嫁ごうとしているなんて信じられません」

「今、シャルル・サシャバルは大人しくしているだろうが、また落ち着けば表舞台に出るだろう。今回はベル公爵も甘かったと反省しているようだ」

「ですが、そのおかげでカトリーナ様を救えたのなら本当によかったです」


ニナはそう言って涙を拭う。
ベル公爵にはもうシャルルではなくカトリーナがここにいることは伝わっている。
サシャバル伯爵は準備期間として与えられた一ヶ月の間にカトリーナを娘として登録したようだ。
カトリーナとシャルルは年も同じで生まれはシャルルの方が少し早いだけ。

(カトリーナ・サシャバル……)

クラレンスは窓を閉めてから手紙の続きを書くために羽根ペンと紙を手に取った。




(クラレンスside end)
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