【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「私が勝手なことをしてニナさんに迷惑をかけてしまいました」

「カトリーナ様……!」

「少しでも役に立ちたくて差し出がましい真似をしました。掃除用具が間違っていましたでしょうか?今度は間違えませんので……申し訳ございません」


深々と頭を下げるカトリーナにクラレンスの重たい溜息が聞こえた。
ニナはクラレンスに先程のことを説明しているようだった。


「はぁ……そういうことか」

「お部屋にもいなくて探していたら、こんなにも寒い廊下を掃除なさっていたのでつい驚いてしまったんです」

「申し訳ございません」

「謝らなくていい」


どうやらカトリーナの行動でニナを驚かせてしまったらしい。
この一ヶ月、身近でカトリーナの世話をつきっきりでしてくれたニナに感謝している。
クラレンスは溜息を吐いたり、突き放すような冷たい言葉を言ったりするが、とても優しいのだとカトリーナは気づいていた。


「カトリーナ、どうして部屋にいられない?」


クラレンスの言葉にカトリーナは頭を下げたまま答えた。


「何もしないのは体がムズムズします」

「……そうか。なら、本でも持ってこよう」

「いいのですか?」

「大人しくしているのならば構わない。体調が整うまで必要以上に部屋から出るな。ただでさえ体が弱っているのだ」

「…………はい。申し訳ありません」
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