【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
何日経っても状況は変わらない。


「クラレンス殿下、私はそろそろ働きたいのですが」

「……ダメだ」


カトリーナがそう言うと、クラレンスはいつもこう言った。


「ですが私は行儀見習いとしてここに来ました」

「本来はシャルル・サシャバルが罰を受けるべきだった。きちんと反省すれば猶予を与える予定で、もし反省が見られなければ……」

「……?」

「だが、お前はシャルル・サシャバルではないだろう?」


カトリーナが予想外だったことは、シャルルじゃないとわかってもすぐに追い出されなかったことだ。
今までとは違った生活をしているからか違和感は拭えない。
食事も入浴も許されているのだが、それはシャルルやサシャバル伯爵夫人達だけのものだった。
それなのにニナ達はカトリーナをシャルルのように扱ってくれる。


「何かしたいことはあるか?食べたいものは?」


クラレンスの問いかけにいつもは首を横に振るカトリーナだったが、いつも何も言わないとクラレンスが少し悲しそうな顔をしてしまう。
そんな顔をさせることが申し訳なくて、カトリーナは窓の外を指差した。
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