【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「外の白い絨毯を近くで見たいです」

「白い、絨毯……?」

「ここに来た時には空から降っていました。冷たくて、綺麗で……」


カトリーナが手のひらを見ていた。
今も触れたら消えて、また触れては消えてとあの感覚は手のひらに残っている。


「まさか〝雪〟のことを言っているのか?」

「……雪。それは吹雪と同じですか?」
 
「吹雪とは激しい風を伴って激しく降る雪のことだ。あれは…………雪だ」

「なるほど。そうなのですね」

「気分転換にもいいか。外に行こう」

「いいのですか?」

「……。見たいから言ったのではないのか?」

「はい。そうです」

「…………はぁ」



クラレンスが「カトリーナと外に行く」と言うとニナが急いでコートを持ってくる。
しかしニナの服もサイズが合わずにブカブカだった。
ニナがクラレンスに向かって「早くカトリーナ様のものを買い揃えましょう!」と、訴えかけている。
難しい顔をしているクラレンスにニナは「久しぶりに王都で買い物もいいですね」と喜んでいる。
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