【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
しかしカトリーナの願いは叶うことなく母は衰弱していった。
母は熱に浮かされながらカトリーナを睨みつけて何度も何度も繰り返しサシャバル伯爵や夫人の恨み言を言っていた。
「絶対に許さない……!」
カトリーナはその時、悟ったのだ。
憎き男の血を半分引き継いだ『カトリーナ』を、母は愛してくれることはないと。
弱りゆく母の姿を見て、触れることも許されないまま椅子に座っていた。
「あの女と娘、あの男を殺して……!お願い、カトリーナ」
そう言って、本当に久しぶりにカトリーナの名前を呼んだ母は息を引き取った。
ですが、涙は出てこなかった。
(……神様なんて、いない)
カトリーナは息絶えた母をずっと見ていた。
次の日、仕事をするために現れないカトリーナと母を怒鳴りながらやってきたサシャバル伯爵夫人は息絶えた母の姿を見て赤い瞳を見開いた。
そして笑い声に気づいて顔を上げると、真っ赤な唇が綺麗に弧を描いている。
そのまま腹を抱えて大笑いしているサシャバル伯爵夫人をカトリーナは呆然と見つめていた。
狂ったように笑う夫人に気づいて屋根裏には人が集まってくる。
サシャバル伯爵は苦虫を潰したような顔をした。
今もサシャバル伯爵夫人の真っ赤な唇が、カトリーナの脳裏に焼き付いたようにずっと離れない。
母は熱に浮かされながらカトリーナを睨みつけて何度も何度も繰り返しサシャバル伯爵や夫人の恨み言を言っていた。
「絶対に許さない……!」
カトリーナはその時、悟ったのだ。
憎き男の血を半分引き継いだ『カトリーナ』を、母は愛してくれることはないと。
弱りゆく母の姿を見て、触れることも許されないまま椅子に座っていた。
「あの女と娘、あの男を殺して……!お願い、カトリーナ」
そう言って、本当に久しぶりにカトリーナの名前を呼んだ母は息を引き取った。
ですが、涙は出てこなかった。
(……神様なんて、いない)
カトリーナは息絶えた母をずっと見ていた。
次の日、仕事をするために現れないカトリーナと母を怒鳴りながらやってきたサシャバル伯爵夫人は息絶えた母の姿を見て赤い瞳を見開いた。
そして笑い声に気づいて顔を上げると、真っ赤な唇が綺麗に弧を描いている。
そのまま腹を抱えて大笑いしているサシャバル伯爵夫人をカトリーナは呆然と見つめていた。
狂ったように笑う夫人に気づいて屋根裏には人が集まってくる。
サシャバル伯爵は苦虫を潰したような顔をした。
今もサシャバル伯爵夫人の真っ赤な唇が、カトリーナの脳裏に焼き付いたようにずっと離れない。