【コミカライズ】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか? 〜破局寸前で魅了魔法をかけてしまい、わたしのことが嫌いなはずの婚約者が溺愛してくる〜
◇◇◇
マスカットのタルトが完成してまもなく、クラウスが公爵邸に到着した。
エントランスで彼を出迎える。こちらの姿を見て開口一番、彼は言いかけた。
「エリィ、そのドレス――」
「い、言わないで!」
手をかざして言葉の続きを言わないように制する。――実は、クラウスの久々の訪問を聞いた侍女たちが身支度に気合いを入れまくったのだ。主にリジーが中心となって。
ドレスはクラウスの瞳を思わせる鮮やかなつつじ色で、ハーフアップに結った髪飾りもつつじの花。完全に「わたしはクラウス様のものです(テヘッ☆)」感が丸出しだ。
「おっしゃりたいことはよく分かってるから。みなまで言う必要はないわ」
腕を組みながら気まずそうに目を逸らす。声に出して指摘されたら、恥ずかしくて消えたくなってしまうだろう。