【コミカライズ】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか? 〜破局寸前で魅了魔法をかけてしまい、わたしのことが嫌いなはずの婚約者が溺愛してくる〜
「ついているぞ、クリームが」
「……へ?」
固く閉じていた目を開き、瞬かせる。なんだ、クリームを取ってくれただけか。紛らわしいことをしないでほしい。けれど、そんな風に心のどこかでがっかりしている自分に戸惑ってしまう。
クラウスは、エルヴィアナの心の内を見透かしたように不敵に口角を上げた。
「期待したか?」
「!?!?」
分かりやすく顔を真っ赤にするエルヴィアナ。上目がちに甘えるように答える。
「……したと言ったら……?」
クラウスはふっと柔らかく笑みを零したあと、指についたクリームを舐めた。その仕草が色っぽくて、また胸がきゅんとときめく。そのまま彼はこちらに視線を滑らせた。
「可愛い」
彼はこちらを見つめながら囁き、ちゅと額に唇を落とした。
「タルト、とても美味かった」
次から次へと甘やかされて、甘い言葉を囁かされて胸がいっぱいだ。何も言い返す言葉が思いつかなくて、ただ俯くことしかできなかった。