【コミカライズ】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか? 〜破局寸前で魅了魔法をかけてしまい、わたしのことが嫌いなはずの婚約者が溺愛してくる〜
そう言って、エルヴィアナの手を引いた。無言で歩き続ける彼。デートの最中に、無闇やたらに他人の世話を焼きすぎてしまっただろうか。
「クラウス様、怒ってる……?」
彼は立ち止まり、困ったように微笑みながらこちらを見下ろして言う。
「君は昔から何も変わっていないんだな」
「え……?」
「お人好しで優しいままだ。それが知れてよかった。君は変わっていない」
クラウスは「変わっていない」という言葉を二度続けた。まるで、自分に言い聞かせるように。
変わったところはある。エルヴィアナに呪いがかかってしまったという点だ。そのせいで悪女として醜聞が広がり、クラウスにも愛想を尽かされてしまった。エルヴィアナは浮気者で嫌われ者の悪女だ。
右腕を擦りながら、暗い表情を浮かべた。