【コミカライズ】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか? 〜破局寸前で魅了魔法をかけてしまい、わたしのことが嫌いなはずの婚約者が溺愛してくる〜
「その可愛いの言葉は本心? それとも、魅了魔法をかけられているせい?」
正直、今もよく分からない。クラウスからは魅了魔法にかかる前から惚れていたと打ち明けられた。元々好きだったから魅了魔法がかかっても大きな変化がなく、理性を保てているというのも、理屈としては納得できる。でも、エルヴィアナをとろとろに甘やかす言葉が、彼の本心だと信じきれていない。魅了魔法に言わされているだけかもしれないから。
クラウスは強制的に下を向かされた状態で続けた。
「ずっと可愛いと思ってきた。どこにいても、誰といてもいつも君のことが頭から離れなくて……別の男に笑いかける君を見る度、胸が苦しくなった。俺は君に恋焦がれている。たとえ君がどうしようもない悪女になっても、きっと変わらない。今の俺の言葉は――」
彼はエルヴィアナの腕を掴んで頭から離させ、おもむろに顔を上げた。つつじ色の美しい双眸に射抜かれて、どきっと胸が音を立てる。
「魅了魔法によって引き出された――俺の本心だ。これからは魔法に頼らずとも、恐れずに君に本心を伝えていこうと思っている。ちゃんと聞いてくれるか?」
彼もエルヴィアナと同じだったのだろうか。嫌われるのが怖くて、好きだからこそ臆病になって、胸にしまい込んだだ気持ちが沢山あったのかもしれない。
エルヴィアナはこくんと頷いた。
「ところで……王女様は、どうなったの?」
「…………」