【コミカライズ】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか? 〜破局寸前で魅了魔法をかけてしまい、わたしのことが嫌いなはずの婚約者が溺愛してくる〜
20_守りたい人
「どこを……好きになったの?」
「…………」
つい気になって聞いてみる。すると、いつも即答してくる彼が、珍しく黙り込んで答えに迷った。
「それは……そうだな……」
顎に手を添えて、真剣に考え込むクラウス。急に歯切れが悪くなって困惑した。あれだけ好き好き言っておいて、答えられないことがあるだろうか。
「考えさせてくれ」
そう言われてちょっと不安になる。昔のエルヴィアナなら、すぐに偏った解釈をして、好きなところなどなく、嫌われているのだと勘違いしていたかもしれない。
「分かったわ。待ってる」
でも、以前のようなすれ違いや誤解を招かないように、彼が答えてくれるまでちゃんと待つつもりだ。
「エリィは? 俺のどこが好き……なんだろう」
「……笑った顔が、好き」
それは長いこと、エルヴィアナには見せてくれなかった顔だ。王女に笑いかけるのを見る度に、見苦しく嫉妬していたのを思い出す。
「もう一度言ってくれないか?」
「え?」
声が小さくて聞き取れなかったのだろうか。