交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
テーブルにスマホを置き、何かの間違いかもしれないと一応寝室も覗いて見たが、ベッドはもぬけの殻。

帰れないと連絡を入れ、ちゃんとベッドで寝ておくように言った時、小梅はそうすると返事をくれた。

俺が帰ってこないなら、実家に帰ったことを知る由もないと思ったのだろうか。
それなら、明日には帰ってくるつもりでいたのか?

いや、でも。
昼間、会議に必要な書類を小梅に届けて貰う時、フロントには小梅が訪ねてきたら社長室に通すように話したにもかかわらず、小梅は書類をフロントに預けて帰ってしまったと聞いた。

仕事の邪魔をしないように配慮してくれたのかと思ったが、フロントの係から一度社長室には向かったのだとさらに聞き不思議に思った。

それとなにか関係があるのか…?

まさか、あの時、秘書の男が祖父と桜子さんの話を始めた時、小梅が来ていたんじゃ……
それで誤解をしたのかもしれない。部分的に聞いただけだったとしたら、ただ俺が小梅に隠し事をしていたと思われても仕方のない会話だった。

気が気じゃなくて、このままでは仕事も手につかないのは明らかだった。
俺は小梅が明日は午後から仕事だと言っていたのを思い出し、俺も午前休をもぎ取ろうと決めた。

明日、小梅の実家に行って、ただ家が恋しくて帰りたくなっただけならそれでいい。
心配性だと笑ってくれればそれで。

そうだとしても、やはり話した方がいいだろう。
秘書の言う通り、隠し事は喧嘩の種になりかねない。

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