交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
階段を上がってすぐの部屋が小梅の部屋らしい。
コンコン、とノックをすると、「お母さん? やっぱり10時のおやつはお父さんも帰ってきてからに……」とくぐもった声が聞こえてきた。

10時のおやつ。随分と可愛らしい約束を母娘で交わしていたらしい。
しかし、生憎俺は小梅の母親ではない。

「俺だ」

名乗らなくとも、声で伝わったのだろう、「え、え!?」と素っ頓狂な声が聞こえたと思ったら、部屋がしんと静まり返る。

「入ってもいいか、小梅」

やや間があって、「どうぞ」と許可が出たのでドアノブに手をかける。
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