交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
こんなにも急な話なことはあるだろうか。
頭にはてなマークを浮かべまくって、私は呆然と彼を見つめることしかできない。

「俺は、古嵐さんと家族になりたい」

家族…?って、ほんとにそう思ってます?顔が怖いんですが……
なんだか表情の無さに拍車がかかって、とても難しい顔をしている。
わけのわからない展開ながらも、彼の眉間にしわが寄っているのははっきりとわかる。

「…深山、さん。あの、顔が怖いです!」

思わずそう呟いてしまうほどには。
深山さんはハッとして、小さく咳払いを挟む。

「すみません。緊張すると、元々無愛想なのに余計に怖いとよく言われるんですが、癖でつい」

少しバツが悪そうに話す深山さん。端正な顔立ちをしているのに加えて性格や雰囲気がクールだから、確かに怖い。

でも、笑った顔こそほんの少ししか見せてくれなかったけれど、彼の気遣いに触れているから。悪い人じゃないのは分かる。

それはそうと、話を元に戻さなくては。
私の聞き間違いではなく、彼が本気で言っているなら、私は今この人にプロポーズをされた気がする。

少し落ち着いていた情報が、また頭を回りだした。

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