交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「お母さん、また来るね。お父さんにもよろしく言っておいて!」
母の返事を待たず、私は実家を飛び出した。
まず、一織さんとのトーク画面を開く。彼に返信をした私のメッセージに既読はついていなかった。
そして、一織さんの会社であるミヤマフーズに電話をかけながら、大通りに出てタクシーを拾う。運転手に一織さんがいるはずのホテルの名を告げた所で電話が繋がった。
対応してくれた受付の人に、秘書である新田さんに取り次いでもらう。
今日、何か変わったことはなかったか。一織さんと丸山副社長はどんな様子だったか。
新田さんも一織さんを心配していたようで、私の実家に丸山副社長が訪ねていたことを伝えると慌てた様子で自分もホテルに向かうと言ってくれた。
相手は丸山麗奈ひとりではないだろうと思っていたから、新田さんがいてくれたら心強い。
ホテルに到着するとフロントに駆け込みコンシェルジュに尋ねる。
「金髪で色白の女性と、ブラウンの髪にスリーピーススーツの長身の男性が来ませんでしたか?」
コンシェルジュは一瞬動揺したように瞬きをした後、すぐに冷静で落ち着いた声色で話す。私の勢いに気圧されたのか、はたまた思い当たる節があっておいて言えないのか。恐らく後者だろう。
「いいえ。そのような方はお見かけしておりません」
「そんなはずありません。私の夫が来ているんです。深山グループの社長で、一緒にいる女性は丸山商事の副社長です。覚えがあるんですよね?」
「…申し訳ございませんが、お客様の情報を他のお客様にお伝えすることは――」
母の返事を待たず、私は実家を飛び出した。
まず、一織さんとのトーク画面を開く。彼に返信をした私のメッセージに既読はついていなかった。
そして、一織さんの会社であるミヤマフーズに電話をかけながら、大通りに出てタクシーを拾う。運転手に一織さんがいるはずのホテルの名を告げた所で電話が繋がった。
対応してくれた受付の人に、秘書である新田さんに取り次いでもらう。
今日、何か変わったことはなかったか。一織さんと丸山副社長はどんな様子だったか。
新田さんも一織さんを心配していたようで、私の実家に丸山副社長が訪ねていたことを伝えると慌てた様子で自分もホテルに向かうと言ってくれた。
相手は丸山麗奈ひとりではないだろうと思っていたから、新田さんがいてくれたら心強い。
ホテルに到着するとフロントに駆け込みコンシェルジュに尋ねる。
「金髪で色白の女性と、ブラウンの髪にスリーピーススーツの長身の男性が来ませんでしたか?」
コンシェルジュは一瞬動揺したように瞬きをした後、すぐに冷静で落ち着いた声色で話す。私の勢いに気圧されたのか、はたまた思い当たる節があっておいて言えないのか。恐らく後者だろう。
「いいえ。そのような方はお見かけしておりません」
「そんなはずありません。私の夫が来ているんです。深山グループの社長で、一緒にいる女性は丸山商事の副社長です。覚えがあるんですよね?」
「…申し訳ございませんが、お客様の情報を他のお客様にお伝えすることは――」