交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
結局、タイミング悪く鳴いた腹に見かねた彼女が即席でお弁当を作ってくれて、忘れ物の傘まで施してくれることになる。

彼女の話を聞いていて、俺はぴくりと反応した。

「古嵐定食…そうか。大変なんだな」

古嵐。まさかこんなに近くで、こんな形で出会うことができるとは思わなかった。
祖父から、今は近くで定食屋を営んでいるらしいとは聞いていたが。

彼女は俺が突っ込む前に誤魔化したけれど、ぽろりと経営難であることを零した。

「気をつけてくださいね」

「ああ。本当にありがとう」

最後まで笑みを絶やさなかった彼女に見送られた帰り道、雨が傘を打つ音を聞きながら考えた。

今が、その時なのではないかと。


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