交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~

彼女にプロポーズをしてから3日が経った。
約束の3日だ。俺は柄にもなくこの間どこか落ち着かない日を過ごしていた。

彼女はOKしてくれるだろうか。断られたらどうする。しつこい男は嫌われるというし、執拗に迫ったりすればストーカーになりかねない。

今の時点ですでに突拍子もないことを言っているのは百も承知だ。
その上で彼女が下す決断が、お互いにとって良い方向であることを願った。

前に定食屋を訪れた時はちょうど閉店したところだったので、今日こそはと少し早めに向かった。
午後8時でも客はまばらにいて、暖簾をくぐると母と同じ年くらいに見える女性がにこやかに席を案内してくれた。

席につき、メニューを開いてはみるが、さりげなく店内を見渡す。
彼女がいないのだ。毎日いるわけではなかったのか、今日たまたまいないだけなのか。

まさかの事態に、俺は内心焦りを覚えつつ、あの雨の日に弁当に入っていた唐揚げの定食を注文した。

2回ともここで会っているし、ここに来れば絶対に会えると思っていたばかりに、会えなかった時のことは考えていなかった。単に余裕がなかったのもあるが、連絡先を聞いておかなかったのは重大なミスだった。

定食が運ばれてくると、湯気が美味しそうな香りを運ぶ。彼女が言った通りの暖かい食事だ。
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