交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
まだ雨は止まない。それどころか酷くなる予報なのだ。お節介魂に火がついてしまったので、せっかく水分をふき取ったのにまた濡れに外に出るなんてしてほしくない。

私の強い意志を感じたのか、彼はしばらく私を見つめたあと口を開く。
が、音になったのは言葉ではなく…

「…会社に戻ってからと思っていたから昼を食べ損ねているんです」

控えめな、それでいて確かに聞こえた自分のお腹の音に、彼は目を逸らして言い訳するように呟いた。
先程からあまり感情の変化を表に出さない彼の素直な反応を見て思わず笑いがこぼれる。

「うちはこう見えて定食屋なんです。でもこの通り、今日は客足がまったくで。控えめに仕込んだ分の行先に困っていたところなので、お弁当にして差し上げましょうか」

ここまで一息に喋ってしまい、男性が私をじっと見つめているのに気づいて口をつぐむ。
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