交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「え、ご、ごめんなさい。重かったですよね?」

しまった、と言った顔で聞いてくるから、俺は頬を緩めて首を振る。

「まさか。あと五人分は持てた」

「ええ、なんですか、それ」

くすくすと笑いだす彼女につられて、俺もつい笑みが零れる。
朝からこんなくだらないことで笑っているなんて、結婚する前の俺からしたら考えられないことだった。

幼い頃から、淡々とひとりで迎える朝には慣れていたが、こんな穏やかな目覚めも悪くない。というか、断然、こっちの方がいいかもしれない、とまで思う。

「ほら、起きて朝飯だ。今日は俺が作る」

「いいんですか? 昨日も遅かったみたいですし、私が作っても…」

「小梅はいつも夕飯を作ってくれているだろう。昼まで持たせてくれる時もあるしな」

「お弁当は自分のついでですよ。でも、一織さんの朝ごはん、食べてみたいかも」

小梅が遠慮がちに俺を見つめる。

「あんま期待はしないでほしいけど。小梅はゆっくり支度するといい」

「ありがとうございます、一織さん」

そう言って嬉しそうに笑うから、朝食を作るのも楽しくなる。

定食屋の娘なだけあって料理上手な小梅には適わないとしても、喜んでくれるから気合いも入るものだ。

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