交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「あ、ありがとう、ございます…」

急に近づいた距離のせいだろうか。小梅はぎこちなく言う。

そっと離した手を、そのまま小梅の左手に重ねる。

ぴくりと肩を跳ねさせ、彼女はきゅっと控えめに握り返してくれた。

それが嬉しくて、なんだかくすぐったくて、むずがゆい。

「次はどこに行きたい?」

「ん〜、そうですねぇ。…あ、」

「ん?」

「これ、」

ふと、小梅が足を止めて見やったのは、たくさんの緑の真ん中に大きなテントが建てられ、BBQを楽しむ様子が映された宿泊施設の広告だ。

「グランピングか。 …興味あるのか?」

「はい。キャンプとホテルの間って感じがするから、気軽に楽しめそうだなぁって」

俺は、小梅とだったらどんなことでも楽しめると今日確信した。小梅の行きたい所に行って、ふたりで笑っていたい。

だから、少し思い切った提案をしてもいいだろうか。
アウトか、セーフか。言ってみないと分からない。今の俺たちの関係性で、どこまで許されるのか、知りたくなった。
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