交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「…それなら、新婚旅行の前菜ってことで、少し遠出するか」

「え、? …しんこん、りょこう…前菜、前菜? ってことは、メインディッシュがあるんですか?」

俺の微妙な例えに、小梅が声を上げて笑う。

「当たり前だ。本番は海外でもどこでも、最低でも1週間は休みをもぎ取るから行きたい所考えておけよ」

小梅はぽかんとしたあと、ふふっと控えめに笑う。

「分かりました。考えておきますね」

うーん。冗談だと思っているな、これは。
俺がその気になれば、というか新婚旅行のためなら何でもする気でいるというのに。
まぁ、メインディッシュはもう少しあとに取っておくとして。

今はまだ、お互いを知る期間。小梅は少なくとも、俺といて楽しいとは思ってくれているはずだ。小梅は明るくて社交的で、人と仲良くなるのが上手いと分かったけど、それでも今日会ったばかりの人間よりは気兼ねはいらないと。
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