交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ～クールな旦那様と愛妻契約～

「な、え、これ…」

「本当はもっと早く渡すべきだったのに、俺としたことが結婚したことに浮かれてて、なんというか、忘れてたんだ。本当に申し訳ない」

「いえ、そんな、私も指輪のことはあまり気にしていなかったので…」

きらきらと美しく輝くそれは、今日まさに筧さんと話した指輪だ。
予想外の贈り物に、一織さんの顔をまじまじと見つめてしまう。

「あ、もしかして、急ぎの用って、」

「これを買いに行ったんだ」

「そんな、わざわざありがとうございます。こんなに素敵な指輪を…」

「いや、それは俺が勝手に選んできたものだし、婚約指輪みたいなものだ。本物は改めて小梅と一緒に見に行こうと思ってる」

「え!? ほ、本物って、十分ですよ！」

これだって相当いいものなのだろう。普通に生きていたら一生縁のなかったような。
私でも知っているくらい、有名なブランド物だと思ったのに、これは本物じゃないなんて…！