交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
情けないとは思うけど、自分でも分からないのだ。だけど、彼女に抱くこの気持ちが愛情じゃないのならなんだと言うのか。誰か教えてほしかった。
小梅を想う俺の一方的な気持ちは、彼女とこれからも一緒にいるためにも今はまだ伝えるべきではない、と思う。
だが、意識してもらうように仕向けるぐらいはいいだろうか。
「小梅。 俺と結婚してくれて、ありがとう」
腕の中で、小梅の肩がぴくりと跳ねる。
すっぽりと収まっていた顔を控えめに持ち上げ、俺に視線を合わせた。
「一織さんといると、暖かくて、心地いいから。こちらこそ、ありがとうございます、ですよ」
祖父に託された恩返しのための結婚だった。
遠慮して断られないように、それらしい理由をつけて交わした結婚の契約。
小梅と初めて会った台風の日、少し強引なぐらいに世話を焼いてくれるのを見て、祖父の命の恩人だった小梅の祖母、桜子さんを彷彿とさせた。会ったことは無いけれど、きっと似ているのだろう。困っている人を放っておけない性格が。
初対面で、そんな彼女の人柄に少なからず惹かれたのは本当で、俺はいずれ離婚するのだと思っていたのに、本物の夫婦になればいいと提案してきた小梅に驚くのと同時に、彼女との結婚生活を想像して少し楽しそうだと思ったのも本当。
いつも屈託なく笑う小梅が好きだ。
俺はその笑顔を、一生、何があっても守りたいと強く思うようになっていた。
小梅を想う俺の一方的な気持ちは、彼女とこれからも一緒にいるためにも今はまだ伝えるべきではない、と思う。
だが、意識してもらうように仕向けるぐらいはいいだろうか。
「小梅。 俺と結婚してくれて、ありがとう」
腕の中で、小梅の肩がぴくりと跳ねる。
すっぽりと収まっていた顔を控えめに持ち上げ、俺に視線を合わせた。
「一織さんといると、暖かくて、心地いいから。こちらこそ、ありがとうございます、ですよ」
祖父に託された恩返しのための結婚だった。
遠慮して断られないように、それらしい理由をつけて交わした結婚の契約。
小梅と初めて会った台風の日、少し強引なぐらいに世話を焼いてくれるのを見て、祖父の命の恩人だった小梅の祖母、桜子さんを彷彿とさせた。会ったことは無いけれど、きっと似ているのだろう。困っている人を放っておけない性格が。
初対面で、そんな彼女の人柄に少なからず惹かれたのは本当で、俺はいずれ離婚するのだと思っていたのに、本物の夫婦になればいいと提案してきた小梅に驚くのと同時に、彼女との結婚生活を想像して少し楽しそうだと思ったのも本当。
いつも屈託なく笑う小梅が好きだ。
俺はその笑顔を、一生、何があっても守りたいと強く思うようになっていた。