交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
四、すれ違う心



「結婚式?」

一織さんが食器を洗い流しながら私の言葉を復唱する。
私はお皿を受け取って拭きあげ、棚に仕舞う。

「はい。中学の同級生で仲が良かった子なんですけど、結婚式の後、軽い同窓会みたいなのを開くらしくて」

「いいな。久しぶりに会える友人もいるんじゃないか?」

「行ってきてもいいですか?」

一応、お酒の席なわけで、当然同級生の中には男の子もいる。一応、本当に一応、一織さんにお伺いを立ててみた次第だ。

水道を止めて、彼は私を見つめる。

「たまには外で、ゆっくり楽しんでこい」

「はい!」

「…帰りが遅くなるようだったら、心配だから迎えに行く」

夜道が心配、ってことだよね。
ここは甘えておこう。

「ありがとうございます」

へへ、と笑ってみせると、一織さんがふっと視線を逸らす。
あれ?いつもなら、ほんの少し微笑み返してくれる気がするのに。
少しからかってみたくなってきた。
いつもは、ドキドキさせられたりしてやられてばっかりだから。
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