交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ～クールな旦那様と愛妻契約～

お鍋の準備をしていたら一織さんが帰ってきた。

「ただいま」

「おかえりなさい。お仕事おつかれさまです」

「ありがとう。小梅も、おつかれ。 今夜は鍋か」

一織さんが私の手元を見てわずかに微笑む。

「はい。最近朝晩は冷え込むので、お鍋解禁です。あ、一織さん、お餅を入れても大丈夫ですか？」

「大丈夫だが…小梅、何かあったか？」

心配げに、いつもより静かに一織さんが言う。

「…な、なんでですか？」

「元気がないように見える」

いつも通りのつもりだったけれど、一織さんは鋭い。

一織さんを心配させてしまった。もうさっきのことは忘れよう。

今夜は、一織さんと美味しいお鍋を囲むんだから。

「大丈夫です！ 心配かけてごめんなさい」

「何かあったらなんでも言うんだぞ。その時は、俺が全力で小梅を守るから」

「ふふっ、頼もしいです。じゃあ一織さんのことは、私が守りますね！」

力こぶを作って見せると、一織さんがふっと笑う。

「あぁ、頼んだ」

私を大切に思ってくれる彼のことを、私も大切にしたい。
支え合って、おじいちゃんとおばあちゃんになってもふたりで生きていけたらいいな。