交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
山本さんは眉を下げて慌てた様子で謝る。
結婚しそうなほど仲が良く見えていたの…?
そんなつもりはなかった…なんて、今更言っても仕方がないよね。
実際、戸川くん本人に告白までされているんだし、これは私が完全に悪いのでは……

「ううん、大丈夫だよ。 旦那さんとは、実家の定食屋がきっかけで出会ったの」

常に冷静で落ち着いているから冷たく見えるけど、優しくて、頼りになる私の旦那様。
他の誰でもない、一織さんだから、誤解されたままにはしたくなかった。

山本さんは納得してくれて、他にも何人か私と戸川くんの関係が続いていると思っている子がいたらしいので伝えておくとも言ってくれた。

その後は、食事とお酒を嗜みつつ当時のクラスメイトと話を膨らませた。
その間も、頭の隅で思う。
戸川くんは悪くない。私の紛らわしい態度がいけなかったのだ。
…なんだか疲れたな。一織さんに会いたい。

少しお酒が入ってふわふわした頭で、気づいたら、一織さんにメッセージを送っていた。

彼にも、伝えなきゃ。

私が、世界でたったひとり選ぶのは一織さんだって。

好きって思ってもらいたいのは、あなただけだって。
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