交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
会場を出て、送迎レーンのあるところで息をつく。
外の冷えた空気が今はちょうど良かった。
一織さんがもうすぐ迎えに来てくれる。
そうしたら、すぐに言おう。
私の気持ち。あなたには、知っていてほしいから。
「古嵐さん!」
不意に、前にも聞いた声が届いてびくりと肩が跳ねる。
「戸川くん…」
彼は私の目をはっきりと見据えている。
目を逸らすことができずにいると、彼がゆっくりと近づく。ふわりとお酒の匂いがした。