冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
それからも影沼の体制見直しは続いた。

「ECサイトの発送はもっと簡素化して効率化を図り、一日の発送数を増やしてください。季節ごとの手紙は廃止、定型文で統一していくように—」

「倉庫もゆくゆくは外部倉庫にして、経費を削減していく—」

「茉白さんもデザイナーも、工場に出向くのはやめて、打ち合わせは工場からこちらに来させるか、オンラインで済ませるように—」

茉白が大切にしてきたことには、ことごとく影沼のメスが入っている。


「茉白さんができなかったことをしてるんです。これでLOSKAは良くなりますよ。」

影沼はことあるごとに「LOSKA」の名前を口にし、茉白はその度に黙るしかなくなってしまう。
縞太郎が納得している様子なのも、茉白が意見を言えなくなる一因だった。


SNSについては特に何も言われなかったが、ここのところどうも莉子の元気がないせいか投稿回数が減り、それとともにフォロワーも徐々に減っていた。
(ずっといいね押してくれるのはクロさんくらい…これも影沼さんかもしれないし…)


Amsel・商品企画室

「墨田さんおはようございます。」

「おはようございます。」

茉白が企画室に着くと、外国語の書かれた段ボールが置かれ、墨田はその箱から取り出した商品をチェックしている。

「今日は検品のお手伝いですか?」

「あなたは別のことをしてください。」
墨田は箱を隠すようにして、茉白に言った。
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