冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「シェル型のグリーンとパープルを各1,000個、ピンクとブルーを各800個、バニティは全カラー各700個。」

遙斗が言うと、米良が隣でタブレットに書き込んでいく。

「え…」

茉白はキョトンとした表情で遙斗を見た。

「何ボーッとしてんの?注文するって言ってんだけど。」

「………ちゅうもん…?」

「………」

「ええ!?」

驚く茉白に、遙斗は呆れた顔をする。

「なんなんだよ…」

「だ、だってさっきは検討っておっしゃってたのに…」

「検討じゃ不安なんだろ?」

「は、はい。でもちょっと…こんな即断で…数もすごいのでびっくりしちゃって…。あの…ありがとうございます…!」
茉白の心臓が緊張と驚きで早いリズムを刻む。

「正直なところ、昨日サンプルを見た段階で注文するつもりだったんだけど…」

「え…?」
茉白がさらに驚く。

「中のパイピングも丁寧にされてて、ファスナーもきれいに真っ直ぐ縫われてるし、金具の滑りもとても良い。裏地の布にこだわってるのもわかった。これは良い商品だと思う。」

「…だったら昨日そうおっしゃっていただければ…」
茉白はおずおずと言った。

「とはいえ、昨日みたいな商談が問題外なのは本当のことだし—」

(それはその通りだ…)
茉白は心の中でまた反省した。

「本当に7時に資料持参で商談にくるヤツなんているのか、って気になったからな。」
遙斗は意地悪っぽく笑った。

「…来ますよ。この下手な絵を形にするのにたくさんの人が頑張ってくれたんですから。」
茉白は試されたことに若干の不満をのぞかせながら言った。
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