冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「これはどういうことですか?」
影沼の質問に、茉白の顔が青ざめる。

茉白の前に並べられたのは、週刊誌と同じ構図のカラー写真だった。
茉白の顔もはっきりと写っている。

「雪村専務と茉白さんですよね?場所はこの雑誌の通りなら、雪村専務のマンションですか。」

「…なんでこの写真が…」

「先程この週刊誌の編集部に行って買ってきたんですよ。」

「なんで…」

「妻となる女性の不貞の証拠ですからね。」

「…私は…あなたと正式に婚約していません…」
茉白は影沼を睨むように言うと、影沼は笑った。

「なら、雪村専務と結婚するんですか?LOSKAも安泰ですね。」

「…それは…」
それが現実的でないことは、茉白も影沼もわかっている。

「私はこんな事であなたとの結婚をやめる気はありませんよ。」

「え…」

「むしろ、シャルドングループと強力なコネクションができて嬉しいくらいです。」

「………」

「茉白さんの会社だという事実があれば、いくらでも取引ができそうです。」
影沼は笑いながら言った。

「…最低…」

「茉白さんはこの期に及んでまだ自分の立場がわかってないようですね。Amselとの提携が無くなったら縞太郎さんも悲しむでしょうね…。」

「…綿貫さんにクオリティの低い外国製のものを日本製にしろって言ったこと、聞きました。そんなクオリティのものをシャルドンが発注する筈ありません…」

「本当にわかってないんですね。だから茉白さんが役に立つんですよ。雪村専務の情に訴えても良いし、他人の婚約者を略奪しようとした…なんて週刊誌に情報提供するというのもスキャンダラスで良いですよね。」

「そんなこと…」
茉白の心臓の音が大きくなる。


「今日これから、茉白さんの名前で雪村専務に商談のアポを入れてあります。」

「え…!?」

「あなたの名前を出したら簡単にアポが取れました。事を荒立てたくないなら、一緒に雪村専務に会っていただけますよね?」

立場の弱い茉白は、影沼の言うことを聞くしかなかった。

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