冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「LOSKAはシャルドンが買収する。」


茉白は遙斗が何を言っているのか、全く理解できなかった。

「買収…?」

状況を飲み込めない茉白に遙斗が頷いた。

「LOSKAはシャルドングループの傘下に入る。」

(買収…?傘下…?)

「天下のシャルドンも後継者は頭が悪いみたいだな。」
呆気に取られていた影沼が口を開いた。

「シャルドンになんのメリットも無い会社を女のために買収するなんて。」

(…メリット…そう…)

「そうです…シャルドンに何のメリットも無いのに、買収なんてだめです…!!」
茉白はやっと状況が飲み込めた。

「だめです…」
茉白は首を横に振った。

「メリット無しに買収するわけないだろ。」
遙斗は茉白に言った。

「小さくなる折り畳み傘—」

「え…」

「LOSKAはあの傘の構造で特許を取ってる。その特許ごとシャルドンが買う。」

「でもあれは…売れなかった商品で…」

「前にも言ったけど、LOSKAはプロモーションが下手過ぎる。あの傘は小さなバッグに入れられる上に畳むのが簡単な点で世間のニーズに合ってるよ。LOSKAはカタログ作りから商品のタグまでそれを伝えるのが下手だったから売れなかったんだ。シャルドンのプロモーション力があれば必ず売れる。」

「…本当ですか…?」
信じられないという顔で茉白が聞いた。

「君のお父さんは優秀な発明家だったみたいだな。特許をいくつか持ってる。なぜか本人が忘れているものばかりなんだけど、それも洗い出して商品化の企画をしていくつもりだ。」

「父はそういうことに無頓着な人間なので…きっと母が申請したんだと思います……って、え…父に会っ—」

———コンコンコン

誰かがドアをノックした。

「失礼します。」

部屋に入って来たのはスーツ姿にショートヘアの女性だった。
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