冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
遙斗の話では、Amselはコスメの品質がここ最近どんどん低下していて、シャルドンでの取り扱いが無くなる寸前だったらしい。
それに焦った影沼が、パーティーで遙斗や米良と親しげに話していた茉白に目をつけ、シャルドンでの売上が好調なLOSKAを支配的に利用してAmselの業績を回復させようとしていたようだ。

「茉白と結婚すれば、LOSKAの信頼性ごと社長の座が手に入って商品の偽装みたいなこともしやすいからな。」

(あのまま結婚してたら…LOSKAはきっとすぐに無くなってた…)


「それにしても、茉白さんと出会ってから見たことのない遙斗がいろいろ見れてここ最近面白かったですよ。」
米良が楽しそうに言った。

「え…?」

「おい…」
遙斗が米良を睨んだ。

「子どもみたいに拗ねたり、焦った表情をしたり、社長に頭を下げてるところも初めて見ました。」

「あたま…?どうしてですか…?」

「しょうがないだろ、いくら特許があっても利益になるのは未来の話だ。」

「え…そんな、そこまでしていただいたんですか…!?」

「本当に米良は余計なことしか言わないよな…」
遙斗が不機嫌な口振りで言った。

「茉白さんだけですよ、遙斗にここまでさせるのは。よほど茉白さんのことが好きなんですね。」

「………」
茉白は恐縮と照れ臭さが混ざった顔をした。

「だいたい、遙斗が早く素直になればこんなに(こじ)れることも無かったですよね。」

「米良…お前な…」

「新婚旅行を邪魔されたお返しだ。」
米良はわざとらしくにっこり笑って言った。

「だからもう一回休ませてやるって言っただろ?」
遙斗は不満そうに言う。

「じゃ、私は後始末とか今後の準備とかいろいろと忙しいので。」
そう言って米良は部屋から出て行った。
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