冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「ポーチの納期まで2か月弱なので、今から企画から製造までするとなると時間が限られます。好評だったポイントもクオリティとか日本製という意見が多かったようなので、やり取りや輸送に時間のかかる海外製ではなく日本製の商品に絞ります。」

茉白はカタログを開いた。

「日本で作れて、OEMだから…生産ロットも抑えめ…の物だとこのコンパクトミラーなんかも作れるんですけど、今回はポーチにミラーが付いているので一緒に買ってもらい(にく)いかな、と思います。なのでおすすめはハンカチですね。綿のサラッとしたものと、タオルタイプのもの、どちらも日本で作れますし、ポーチとの相性も良いと思います。」

茉白はカタログを指差しながら説明した。

「へぇ。」

茉白は今度はクロッキー帳を開いて、まず四角を描いた。
まっすぐ描いたつもりが、歪んでいる。

「あれ…?まぁいいや。えっと、タオルタイプの方はフチどりのところの色…メローって言うんですけど、ここの色もデザインごとに2色の組み合わせで変えられます。」

茉白はペンケースから小さな色鉛筆セットを取り出して色を塗り始めた。

「たとえば綿の方はソーダっぽいグラデーションカラーの生地にクリームソーダの刺繍を入れて…タオルタイプの方は白い生地にワンポイント刺繍で、裏はガーゼ生地にしてサクランボ柄を探して…」

楽しそうに絵をどんどん描き進めるのを見て、遙斗も思わず口元を緩める。

「たとえばこんな感じでどうですか?」
茉白は二人にアイデアスケッチを見せた。

「「………」」

「え?」

二人が言葉を発しないので、茉白はまたキョトンとした顔になった。

「おい…」

遙斗が声を発した隣で米良は肩を震わせている。

「絵が下手すぎて話が頭に入って来ないだろ!」

「え!?」

「ハンカチが下手ってなんなんだよ。」

「すみません…」

遙斗は怒りながらも笑っている。
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